消防法違反物件リスト!?
年度末のこの時期、新築物件の引き渡しが重なります。
確認検査機関による完了検査、消防署による完了検査と1ヶ月前から検査予約が必要なほどです。
ですから、設計者や施工者は検査で大きな是正事項が生じないように入念に現場チェックをします。何せ再検査ともなれば検査する側の日程を押さえるのが難しく、下手をすれば4月以降なんてことにもなりかねません。
さて、そんな苦労して検査をパスして引き渡したはずの建物が違反建築物として公開されてしまっていたら!?
東京消防庁ではホームページで都内の消防法違反建築物を公開しています。
建物名称や住所まで公開されており、是正が確認されるまで削除はされないようです。
公表されている建物をグーグルマップで調べてみると、例えば・・・
- 6階建ての共同住宅の屋上にプレハブを増築→7階建て共同住宅扱いとなり連結送水管設置義務違反となってしまっている(恐らく最上階にオーナー住戸併用)マンション
- 以前はマンションのテナントが事務所だったのに、その後、飲食店に変更→自動火災報知設備の設置基準が「事務所+共同住宅」の場合は延べ面積500㎡だが「飲食店+共同住宅」となると300㎡と強化されてしまうことで自動火災報知設備の設置義務違反となってしまったマンション
- 高級住宅街の300㎡以上ある戸建住宅を認可外保育施設に用途変更しているが自動火災報知設備が不設置の認可外保育所。認可外保育所の許可を受ける場合、消防法適合や建築基準法適合が要件ではないことから起きたと思われる違反。
このように色々な消防法違反物件が公表されてしまっています。
これを入居者が見ることがあったら・・・考えただけでも恐ろしいですが、違反建築物として公開される前に気をつけるべき点とは・・・
- 是正困難な検査後工事はしない
- 用途変更申請が不要な100㎡未満の建築物であっても各種法令に適法であることはオーナーの義務であることを認識する(「申請不要」であって「適合義務なし」ではない)←これを勘違いしている人が意外と多いです
- 役所は縦割りなので一つの許可要件を満たしていても他にも満たすべき要件があると認識する
そして何より、「公開される前に反省して是正方法を消防署、そしてプロの建築士や建設会社と協議する」ということでしょう。
(渡辺博之)