ミレニアル世代の「憂鬱」というか「始まり」
日経新聞で連載されていた「ミレニアル世代の憂鬱」が勉強になったので概要をシェア。
ミレニアル世代とは1981年~1996年生まれ世代で「The me me me generation(オレオレ世代)」と呼ばれる。
評価は「怠け者で権利の主張ばかりする、利己的で浅はかなナルシスト世代。他の世代に比べて理想主義基質で楽観的、一方でナイーブで打たれ弱い」
しかし、これからの時代を作り、消費していくミレニアル世代は「SNS」で個人が繋がり、発信者となることでこれまで正しいとされてきた常識やドラマが描く暮らしに縛られることなく「多様性」を認め合うことのできる、とても「堅実」な世代なのかもしれない。
以下、概要です。
①ザッカーバーグ(1984年生まれ34歳)
・Facebookが目指していたのは「世界の透明化」。収益化が目的になったことはない。初期のフェイスブック社内には、ミレニアルらしい理想主義気質が充満していた。
・しかし急激なユーザー増加のためサーバー拡張費などがかさむと資金不足解消のため、広告収入を増やすことに注力するようになった。
・その結果、ユーザーの実名、顔写真、居住地、友達、職業、学歴、どんな投稿に「いいね!」を押したのか――。プライベートな情報が外部へ流出。提供することに抵抗がなかったのは、情報をオープンにすることが社会を良くすることにつながる、というザッカーバーグの信念が始まりだった。
・個人情報流出問題で議会公聴会に呼ばれ謝罪。18年の後半だけで、フェイスブックの企業価値はピークから半分近くが吹き飛んだ。
・かつての自由奔放さを失い、責任を負う側となったミレニアル世代の立場の変化を象徴しているように映る。
②レディ・ガガ(33)
・ガガが中学・高校生時代に通った学校はマンハッタンの高級住宅街アッパーイーストサイドにあるカトリック系の私立女子校「セイクリッド・ハート」で、ケネディ前駐日米大使も通った名門校。ガガはこの頃いじめに苦しんでいた。
・ガガの「Born This Way」はLGBTや有色人種ら社会のマイノリティーに向けた賛美歌とされ、熱狂的なファンが多い。
・一方、ローマ法王フランシスコもカトリック教会でタブー視されてきた同性愛について寛容な姿勢に転じつつあるが、保守的なキリスト教徒の間では同性愛や妊娠中絶、離婚などを認めない考え方もいまだ根強い。
・多様性を重視するミレニアル世代の「宗教離れ」は加速している。
・とはいえ、宗教から距離をとる若者にとって、人生の道しるべを求める思いが消えたわけではない。彼らの心のよりどころの一つになったのが、もがきながらも強く生きる等身大のガガだった。
・悩めるミレニアル世代に響いたのは聖書の教えよりも、今の時代を共に生きるガガの言葉なのかもしれない。
③アレクサンドリア・オカシオコルテス(29)
・1月、米国で史上最年少の女性下院議員に就任。バーテンダー出身で、プエルトリコ移民の母を持つ。
・オカシオコルテスは国民皆保険、学費の無償化など社会保障の強化を支持する「民主社会主義者」を標榜する。
・17年5月、正式に出馬を決めたときにはバーテンダーとして働いていた。戸別訪問や集会を通じた草の根活動とソーシャルメディアを組み合わせ、次第に知名度を上げていった。
・今年米国で最大の人口グループになるミレニアル世代は4割が人種的なマイノリティーで、史上最も多様で教育水準が高い世代だ。米国の世論が不平等に敏感になっているのは、こうした人口動態の変化も影響している。
・ しかし政策を実現するには幅広い層との合意形成が不可欠だ。同世代の一部だけを代表する存在から脱皮できるかがミレニアル世代には問われている。
Sex and the City(SATC) 世代
・放送開始からの20年間で、ニューヨークでは同時テロが起き、未曽有の金融危機にも見舞われた。ミレニアル世代は登場人物と経歴が重なるがドラマで描かれるような生活はしていない。
・ミレニアルの多くが、大学を卒業して職探しをする時期に金融危機が重なった。止まらない学費の高騰で、学生ローンの返済に苦しむ人も多い。物質的な豊かさを追求することに疑問を持ちながら育ったミレニアル世代が出した答えのひとつが、SATCとは逆の「消費よりも貯金」という堅実な生き方だったのかもしれない。
デビッド・ホッグ(19)
・米国でミレニアル世代の下の世代にあたる「Z世代」
・2018年2月14日にフロリダ州パークランドの高校で起きた銃撃事件の生存者の一人で100万人のフォロワーを持つツイッターで、自分の主張を発信し続ける。
・ミレニアルは世界を変えることを夢見たが、Z世代は実現可能な方法で実際に社会を変えようとしている。
・インターネットを知らずに育った上の世代とミレニアルの間には大きい断絶があるが、ミレニアルとZ世代は感覚を共有できている。