売物件に空室発生! リフォームか? 現状維持か?
売却活動中のアパートで空室が発生してしまい、
さぁ、どうするか?という打合をオーナーさんとしてきましたのでちょっと御紹介です。
<物件概要は以下の通り>
・満室賃料収入:600万円/年
・物件の表面利回り7%
・木造2階建、築30年
・都内私鉄沿線
この物件は総戸数6戸の木造アパートです。
築30年ということもあるせいか、10年以上の長期居住者が半分という入居状況。
長期間に渡って滞納もなく入居してもっており、
今後も是非、、、、と言いたいところですが、
オーナーにとっては一つ難点があります。
「家賃単価」
現オーナーが、旧所有者から買い受けた際には、
大規模修繕等は行っていない状況で引き渡しを受けております。
当時から入居中の住戸については、
修繕等が手つかずで、荒れ放題の時の建物グレードをベースに算定された家賃単価。
相場でざっと6万円後半から7万円前半の賃料が取れる1Kタイプですが、
現在の賃料は何と4.5万円以下。
風呂なしの和室でしたので致し方ない部分もありましたが。。
さて、売却依頼を受けている中で空室が発生した場合、対応は大きく2つ。
1.そのまま1戸空室状態にて販売継続
2.リフォームをして、満室稼働にして販売
今回の結論は迷わず「2.リフォームをして満室稼働にして販売」を御提案しました。
ナゼか?
すこしばかり計算をしてみます。
<1.そのまま1戸空室にて販売継続>
原状回復工事を行う程度では、募集賃料の変動は特になさそうですので、
年間満室賃料収入は変わらず600万円。
表面利回り7%ですので、この物件の価値(価格)は
600万/7%=8570万円となります。
<2.リフォームをして、満室稼働にして販売>
リフォームにかかる費用は概算で150万円を予算計上しました。
(主な工事内容:ユニットバス交換、キッチン1200mmタイプ(ガス2口)に交換、クローゼット増設、床フローリング、壁天井クロス 等)
リフォームすることによる、賃料の改定額は
4.5万 ⇒ 6.8万と市場調査の結果査定しました。
予算通りのリフォームを行い、
査定通りの賃料で入居が決まれば販売価格はどうなるか?
年間の増加賃料は27.6万円(6.8万-4.5万=2.3万×12カ月)
年間満室賃料収入=600万円+27.6=627.6万円
1.同様、表面利回り7%で割り戻すと、
627.6万円/7%=8965万円に価値(価格)が上昇しました。
価値の上昇は8965万円-8570万円=395万円
リフォーム費用150万円を差し引いても、
最終的には245万円増加しそうです。
シュミレーション通り実行すれば、
150万円の追加投資をすることによって、245万円のプラスということになりますが、
何故このようなことが起こるのでしょうか?
ポイントは以下の式にあります。
収益還元価格V(価値)=I(ネット収入)/R(資本化率のことで利回りがこれに相当します)
追加で投資したリフォーム費用以上に価値の上昇が見込まれるということです。
背景には、老朽化していて、修繕も何もしていなかった物件のオーナーが変わり、
大規模修繕を実施し、外構をきれいにし、設備を最新のものに更新した結果、
物件のR(キャップレート、利回り)が下がった(価値は上昇した)という点です。
外から見ればフルリフォームをしていても、
まったく手つかずの風呂なし住戸が、割安賃料のまま(当時は相場かな、、)残っていたので、
室内を現在の仕様、間取りにリフォームすることで増加した賃料の幅が大きかったということです。
それじゃあ、逆算的にリフォーム費用をいくらまで掛けられるか?
という疑問があるかもしれません。
参考までに、賃料増加が5000円の場合で再計算してみると、
5000円×12カ月=6万円
606万円/7%=8650万円
8650万円-8570万円=80万
リフォーム費用150万円を掛けても、
価値の上昇は80万円。
80万-150万=▼70万円となり、
それじゃそのまま売却すればよかったじゃないか、、、となります。
追加投資をする場合、
価値の上昇がどれくらい見込めるか?
投資分析をおこなうことで、より具体的な判断ができます。
参考まで。
2016/03/29