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センチメンタルジャーニー~室蘭編3~

 

ホテルにコーヒーラウンジはないので、ロビーのソファーで室蘭観光協会でもらった観光案内、コピーした住宅地図をながめ、新聞を読んだり、トイレに行ったりして、そのときを待ちます。
母はというと、前日に姉と弟との電話での長話でわかった家業の終焉のこと、健康のこと、会わなかった間にきょうだいにおこった様々な出来事を思っているのか、物思いにふけっていました。

しばらくすると、一人の小柄で年配の女性がいきおいよくホテルに入ってきました。
この人かな、と母がパッとそばに駆け寄り声をかけますが、「すみません、人違いでした」とまた戻ってきました。
うーん、でもこの人、人を探している様子だし、もう一度近づいてよく見ると、果たして母の姉でした。
「なんだ!なんだ!」、「やだね!」、とお互い大笑い。年月が経ちすぎて、お互いの顔もよくわからなくなってきているようです。なんだか間の抜けた再会です。

 

続いて車イスの長姉と後ろから車イスを押している弟もホテルに入ってきました。
なんとなく面影がありますが、初めはなかなかピンときません、私も母のことは笑えません。
そのままホテルのロビーのソファーにみなで腰掛け、話を始めます。
「なんでこんな何も無いところに来たの?」と、弟が不思議そうに尋ねます。
子供の会社の永年勤続表彰の記念に旅行券をもらったから、と母が説明すると、
「こんなしけたところじゃなくて海外にでも行けばよかったのに」と言います。
うん、確かにそのとおり。でも、母がなかなか里帰りしないのが気になっていてこの機会に室蘭に連れて行きたいと思った、と説明すると、長姉が「親孝行でやさしい子だね」と言って、力強くうなづいていました。

弟は最近初孫が産まれたばかり、東京にいる子供たちは孫を見せたがっているのに、わざわざそのためだけに室蘭まで来なくていいと言っているそうです。

 

家業(鮮魚卸売業)の社長で羽振りがよかった弟は、早いうちから 、当時室蘭では乗っていなかった外車を乗り回し、札幌のテーラーに行って50万ものスーツを仕立てたりするような、伊達男です。
話を聞いて驚いたのは、ヨットをもっていたこと。10人乗り (そこそこ大きい) のヨットを室蘭港のヨットハーバーに持っていたそうです。12年間所有していたというからなかなかです。ヨットはヨットの価格自体は大したことはないけど、維持費(駐車場ならぬ「ヨットハーバー」の係留料など)に非常にお金がかかったそうです。しかし、会わなかった間に石原裕次郎みたいな生活を送っていたんですね。
うーん、ヨットに一度乗ってみたかったな・・・

 

が上京し東京で下宿生活をおくっているときには、姉が毎月手紙に1000円札(現在の価値だと1万くらいになるのでしょうか)を入れて母に送っていたそうです。でもそれらの全ては母に届いていなかったようです。そのままお札を手紙に入れて送っていたので、郵便局員がネコババでもしたんじゃないかと言っていました。

 

あと、みな自分の小さい頃の様子をよく覚えていて、たくさん思い出話をしてくれました。赤い長靴を買ってあげてそれを履かせて、早朝(4時!)に室蘭卸売市場の中にあるお店にわたしを連れて行ったこと、今は無き室蘭のデパートで頭の上の帽子から下の靴まで洋服を買ってくれたこと、何でも買ってあげるから選んでいいよと言っても、遠慮して小さい方のお菓子を指さしたり、先に母にお伺いをたてようとしたりしたことを昨日の出来事のように詳細に話してくれました。聞いているうちに(彼らは実に細かいことをよく覚えている!)、小さい時に母のきょうだいにとてもかわいがってもらったことをだんだん思い出し、胸が熱くなりました。

 

(のげ)

 

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ホテルのロビーで感動(?)の再会です

 

 

      2018/02/04

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