インスペクションで中古住宅市場を活性化
宅建業法の改正によって注目を浴びることとなった「インスペクション」。
これは建物状況調査のことです。
背景には中古住宅の流通促進があります。
現状の中古住宅の取引時、買主は住宅の「質」に不安を抱えたまま契約をします。その一方で契約自体は個人間売買になることが多く、個人である売主に瑕疵担保責任を負わせることが困難です。そういった社会的背景から宅建業者が専門家(建築士)によるインスペクション(建物状況調査)の活用を売主(買主の場合はあらかじめ売主の承諾が必要)にお知らせし、その意向に応じてインスペクション業者を斡旋することができるようになります。
そして買主はインスペクションの結果を踏まえた購入判断や交渉ができるようになります。また、この結果を活用した瑕疵保険の加入により物件引き渡し後のトラブルを防止しようというものです。
具体的な検査項目は
①構造耐力上の安全性に問題のある可能性が高い劣化事象等:基礎のひび割れ等
②雨漏り・水漏れが発生している、または発生する可能性が高い劣化事象等:雨漏れの跡
③設備配管に日常生活上支障のある劣化が生じている劣化事象等
これらを目視、計測を中心とした非破壊検査によって調査します。また、原因や耐震性の判定、現行法に対する違反の有無は含まれません。
このインスペクション、とりあえずは売主に対する義務ではなく、売主 媒介契約時における売主・買主に対する書面による「説明義務」のようです。耐震診断と同じような扱いでしょうか。
しかし、中古住宅市場の活性化は国の課題ですから、義務化される日も近いのではないでしょうか。
(渡辺博之)
2017/08/20