京アニ実名報道について思うこと
ニュースを視ていたら、京都アニメーション放火事件の犠牲者35名のうち未公表だった25名の実名を発表していました。
今まで未公表ということは遺族が公表を望んでなかったに違いありません。
全員の実名を報道する必要があるのかなと思っていたら、メンタリストのDaigoがYouTubeで実名報道について動画でなかなかうなづけることを言ってました。
いつも冷静に理路整然と話すDaigoにしては珍しくかなり感情的に実名を報道したマスコミを批判。
一部のマスコミが犠牲者の実名を公表した理由を事件の重大性、事件の報道を正確に報道するため、社会の教訓のためとしていることに対し
(わたしが視たニュース番組でも発表する前にアナウンサーがこれらの理由を前置きで説明してから発表していました)、
「事件の正確性を伝えるために被害者の実名要ります?」
「被害者の実名がすべて公開されなかったら京アニで起きた事件が真実でないと思うのでしょうか」
「実名報道でないと言うなら、記者こそ実名を出すべき、そのほうが記事の真実味が増すでしょ」と憤ってました。
わたしも被害者(加害者ではない)の実名を報道することが事件の真実を伝えることとは違うんじゃないかと。
実名じゃなくて仮名にして年齢と性別で十分被害の重みが伝わります。
動画の最後の方でDaigoがマスコミに対してかなり過激なことを言っていてマズかったようですが、マスコミの心理として「自分の意見(メディアの意見)をみんなの意見と思い込んでいる」「自分たちがみんなの意見を代弁してる勝手に思い込んでいる」というところはなるほどなと思いました。
わたしがこの動画を視て思い出したのは、村上春樹がサリン事件の被害者のインタビューをまとめたノンフィクション「アンダーグラウンド」。
村上春樹のインタビューは徹底的に被害者の意向に寄り添い、インタビュー原稿が話した内容が合っているか何度も本人にチェックしてもらい、名前の掲載も仮名の使用や、掲載に被害者の匿名性に十分注意を払ってまとめています。
事件の核心をつく内容でこれは絶対載せたいと思うインタビューほど本人から掲載NGが出ることが多く、泣く泣くボツにしたインタビューも多かったそうです。
実名が出てこなくても、あの日にたまたま居合わせたために被害者に起きた事件の重大さがリアルに伝わってきます、涙なしでは読めないノンフィクションです。
この作品一つとっても村上春樹はノーベル文学賞を獲るべき作家だと思います。
ちなみに村上春樹は膨大な図書とレコードのコレクションの母校の早稲田大学に寄贈して、早稲田内に「村上ライブラリー」を建築する計画がニュースになりましたよね、隈研吾氏の設計です。
なんだか最近の話題の建物の設計は隈研吾氏に集中してますよね。
誰かが「思考停止」と言ってましたが(笑)、別に大御所じゃなくても(隈氏が早稲田の特任教授だからということかららしいですが)母校の早稲田大学出の新進気鋭の建築家が設計しましたっていう方が好感がもてると思うのはわたしだけでしょうか?!
(のげ)
2019/08/30