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企画・プランニング

企画・プランニング

収益物件の企画・プランニングで一番重要なポイントは「間取り」です。

設備仕様や建物のグレード等も勿論重要ですが、この点はコストをかければ充実させることはそれほど難しくはありません。不特定多数の入居者がインターネット等に掲載された物件を見て検討するか否かは「間取り」で決めていることが少なくありません。賃料や敷金、礼金は当然のことながら重要事項ですし後で変更することもできます。しかし間取りは一度建ててしまうと変えることができないのです。ここでは「間取り」を中心に企画・プランニングのポイントをご紹介します。

<その1>「間取り」が重要!

収益物件では「間取り」がとても重要なポイントです。
入居者募集(リーシング)、収益性、建築コスト、維持管理等、様々な面に影響してきます。
立地が良くて、設備もグレードが高くとも、使い勝手が悪いと中々入居者付けに苦労することもあります。

【例1】「専有面積」は同じでも「実際に使える面積」が異なる間取り

「専有面積」は同じでも「実際に使える面積」が異なる間取り

間取り①と②はどちらも同じ専有面積(41㎡)の1LDKタイプの間取りです。
部屋に対して入口の位置がことなりますが、平面形状や窓の配置は全く同じです。
しかし、間取り②は①に比べてLDKが広く、しかも対面キッチンで確保出来ております。

間取り①と②を比較してみましょう。

  • LDK9畳 → LDK11.5畳
  • 壁面キッチン → 対面キッチン
  • 廊下(長い) → 廊下(短い)
  • 賃料    →  UP!!

入居者は賃貸住宅の比較をする場合、物件の「専有面積」というよりも「部屋の畳数」で比較するようです。
間取りを見て使い勝手を想定して現地確認、そこで体感する印象が想像以上だと「住みたい」と感じるでしょう。
ポイントは実際に利用できる面積(LDKや寝室の広さ)が広くて使い勝手や部屋の形状が使いやすい間取ということです。廊下や水廻りは使い勝手に支障ない範囲で極力削減してプランの効率化を図りましょう。
又、収益性の面でも賃料単価UPに働いていることはいうまでもありません。間取りが収益性に直接影響する部分です。

【例2】「専有面積」は同じでも「部屋数」が異なる間取り

単身者向けの間取り(1R・1K等)は専有面積16㎡程度の小さな物件から27㎡程度の広めの物件まで様々あります。
又、近年は各自治体において「ワンルーム条例」が制定されており専有面積を25㎡以上と定めている自体も多いです。
専有面積20㎡以下の物件ですと間取りは1R、出来ても1Kのプランニングが限度かもしれません。しかし、25㎡程度あればプランのバリエーションも増えてきます。

そこで間取り③④をご覧ください。

間取り③④

間取り③はオーソドックスな1Kタイプの間取りです。
都内の好立地であれば賃料総額で9万円台の物件も多数あります。
単身者でも所得層が高い層を狙った物件です。
しかし、路線や停車駅によっては高所得層を狙えないエリアもあります。
その場合は違う間取りの考え方もあります。
間取り④は洋室が狭くても2部屋にした間取りです。
部屋数を増やすことのメリットは「食寝分離」が可能となり、ディンクス等の複数(2名)入居が狙えるということです。
当然支払える家賃総額も上がります。
1DKは30㎡程度の物件が多くありますが、例1同様にプランの効率化を図ることで1DKの物件としでも募集することができます。勿論、単身者も居住できますので”入居者層が広がる”結果、募集期間が短くなることもあるでしょう。

立地、エリアによっては間取り自体の再検討をすることが、収益性UPや空室対策につながります。
企画段階から配棟、居室の向きを賃料設定に落とし込んで広い視点で検討することが重要です。

<その2>ボリュームチェックのポイント

①:まずは建ぺい率と容積率、道路幅員による基準容積率をチェックしてみましょう。

容積率、道路幅員による基準容積率をチェック

【例1】

  • 土地面積200㎡
  • 第一種低層住居専用地域
  • 建ぺい率50% 容積率100%
  • 第一種高度地区
  • 前面道路4m(南西角地)

p指定容積率100%<基準容積率(4m×0.4=160%)から最大容積率は100%であることがわかります。
一層を建ぺい率50%(200㎡×50%=100㎡)とすると、2層で100%消化できます。
ワンフロア100㎡×2層という方針が成立しそうです。
(共用階段・廊下部分は容積率には含まれませんが、計画によっては建ぺい率には含まれますので注意が必要です)

一方、この敷地は角地ですので建ぺい率緩和があることを忘れてはなりません。
次の方針も検討可能です。

最大建ぺい率=(50+角地緩和10)%=60%
200㎡×60%=120㎡
→ 2階部分=最大容積率100%(200㎡)―60%(120㎡)=40%(80㎡)
1階と2階の大きさが変わりますが、間取りの取り方やルーフバルコニーを設置することで
物件の魅力があがるようでしたら検討の余地はあるかもしれません。
但し、建ぺい率が大きくなることで基礎廻りが大きくなることや、ルーフバルコニーのコスト
アップがあることをわすれてはなりません。
建築コストと収益性とのバランスを考慮してボリュームチェックを進める必要があります。

【例2】

  • 土地面積200㎡
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 建ぺい率60% 容積率200%
  • 第2種高度地区
  • 前面道路4m(北側道路)

指定容積率200%>基準容積率(4m×0.4=160%)から最大容積率は160%であることがわかります。
建ぺい率60%(200㎡×60%=120㎡)とすると、3層で180%消化可能です。
しかし、最大容積率は160%ですので3層目は40%以下(80㎡)となります。
また建物の施工効率、コストメリットを考慮して1階から3階まで同じ平面形状で建築する場合は、
160%/3層=53.3%(106㎡)が条件です。
何れにしても3層で計画が出来そうです。
建築面積と間取りの関係を考慮しながらボリュームチェックを進める必要があります。

【例3】

  • 土地面積200㎡
  • 商業地域
  • 建ぺい率80% 容積率400%
  • 第3種高度地区
  • 前面道路4m(南側道路)

指定容積率400%>基準容積率(4m×0.6=240%)から最大容積率は240%であることがわかります。
建ぺい率80%(200㎡×80%=160㎡)として、内共用階段・廊下部分で10㎡程度が必要だとすると
1層分は150㎡(160-10=150㎡)、建ぺい率75%ですので240÷75%=3.2層分必要です。
エントランス等を含めても240%を消化する場合は4層での計画が必要です。
高度斜線、道路斜線を考慮し、又4層ですのでエレベーターの設置も検討が必要です。
4層とする場合10mを超えると日影規制も考慮の必要があります。

②:道路斜線、北側斜線、日影制限をチェック

①の段階では建ぺい率と容積率の関係から階数をある程度想定できました。
さらに斜線関係(道路斜線、北側斜線 等)を加味してボリュームチェックを進めて見ましょう。

道路斜線、北側斜線、日影制限をチェック

【例1 つづき】

角地緩和を使って最大建ぺい率を60%に出来ますので、2層で容積消化ができることわかりました。
道路斜線、北側斜線、日影規制をチェックしてみましょう?
第一種高度地区の北側斜線、南側の道路斜線は2層であれば何とか影響なく計画出来そうです。
又第一種低層住居専用地域の日影規制を受ける建築物については以下の通りです。

<建築基準法 別表第四 日影による中高層の建築物の制限>
「軒の高さが7mを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物」

1~2層なら日影規制の影響はなさそうです。

ここまでのチェックができれば具体的なプランニングに進むことができます。
間取りニーズ(単身者向け、ディンクス向け、ファミリー向け 等)と賃料設定を検証しながらプランニングを進めてみましょう。

【例2 つづき】

建ぺい率を53~60%の間で調整して、3層で容積消化ができることが分かりました。
道路斜線、北側斜線、日影規制をチェックしてみましょう。
第二種高度地区ですが北側道路ですので斜線は道路の反対側から立ち上がりますので道路が北側であることは有利側に働きます。道路と方位の関係はとても重要です。北側斜線は真北から南に向かってかかりますので真北方向に道路がある点がこの物件の場合有利に働いております。
道路斜線はどうでしょうか?北側斜線よりは制限が厳しそうですので今回は道路斜線の方が影響が大きいです。
敷地に対する建物の配棟をよく考えて道路斜線にかからないように3層で計画する必要があります。
又第一種中高層住居専用地域の日影規制を受ける建築物については以下の通りです。

<建築基準法 別表第四 日影による中高層の建築物の制限>
「高さが10mを超える建築物」

3層なら日影規制の影響はなさそうです。

ここまでのチェックができれば具体的なプランニングに進むことができます。
間取りニーズ(単身者向け、ディンクス向け、ファミリー向け 等)と賃料設定を検証しながらプランニングを進めてみましょう。

【例3 つづき】

容積率240%を消化するには、4層での計画が必要であることが分かりました。
道路斜線、北側斜線、日影規制をチェックしてみましょう。
南からは道路斜線、北からは北側斜線(第3種高度)が影響してきます。
第三種高度は10m以上の場合に影響してきますので、マンション等で4層の場合、影響は限定的です。
しかし、道路斜線は注意が必要です。3階の一部、4階は間取りに大きく影響が出そうです。
3階までは同じ大きさで立ち上がって、4階のみセットバックして間取りを小さくする必要がありそうです。
(又、天空率という方法で道路斜線を緩和する方法がありますがここでは触れてません。)
又、商業地域では日影規制はありませんのでここでは考慮する必要はありません。

第三種高度地区では北側斜線よりも、道路斜線でボリュームが決まってくる場合があります。
道路幅員が6mあれば道路斜線は大分楽になりますが、4mの場合は注意が必要です。

以上、3つの用途地域を例にボリュームチェックの概要を説明しました。
ボリュームチェックの考え方、進め方は設計士によって大分異なります。
建物は建物でも、賃貸経営を営む建物であることを忘れては成りません。