土地探し
収益物件を建てる場合、土地を購入して建設する方法と所有している土地に建設する場合(土地活用)の2つの方法があります。土地活用の場合はすでに立地が決まってますが、「土地からオーダーメイド賃貸」の場合は立地を新たに選定することができます。これは土地活用にない大きなメリットと言えます。最近では相続対策、不動産資産の有効活用の観点から、郊外の土地を売却して都心部の土地へ買い替える”資産の組換え”という方法が年々増えてきております。このページでは土地探しのチェックポイントを解説させて頂きます。
<その1>立地・周辺環境・道路付けをチェック
1. エリアについて
弊社では東京の都心部、人気の城南、城西地域を中心に、下記17区の土地除法限定して用地選定を行っております。
<17区>
千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区・品川区・文京区・目黒区・世田谷区・大田区・杉並区・中野区・豊島区・練馬区・板橋区・三鷹市・武蔵野市
<参考となる指標>
- 人口、世帯数、駅乗降客数等のデータ
- 住環境の整備状況
- 災害マップ(洪水、地盤、液状化、木密地域等の災害リスク)
- 所得層、賃料帯、間取り事の
2. 沿線について
弊社では下記沿線を中心に、急行停車駅、複数線利用駅を視野に物件選定を行っております。
- JR各線(山手線・中央線・総武線・総武中央線・京浜東北線・埼京線・京葉線)
- 東急沿線(東横線・田園都市線・目黒線・池上線・世田谷線・東急多摩川線・大井町線
- 小田急線沿線(小田急線)
- 京王線沿線(京王線・井の頭線)
- 東京メトロ各線(千代田線・銀座線・東西線・南北線・半蔵門線・日比谷線・副都心線・丸ノ内線・有楽町線)
- 京急線沿線(京浜急行線・京急空港線・)
- 西武線沿線(西武池袋線・西武新宿線・西武有楽町線)
- 東武線沿線(東武東上線)
- 都営線沿線(都営大江戸線・都営浅草線・都営新宿線・都営三田線・都電荒川線)
3. 周辺環境について
弊社では下記の条件を視野に物件選定を行っております。 ・駅距離:10分圏内(人気路線のターミナル駅は10分以上も視野) ・利便性:「食」「住」の面から周辺環境を観測。コンビニ、スーパー、ドラッグストア、医療施設、公園・幼稚園、保育園、交番、郵便局、金融機関、避難施設 等 ・防犯性、治安: 年年高まるセキュリティニーズですが、駅までの道のり、道路の整備状況、住宅地としての成熟度、娯楽施設や嫌悪施設等を含めて調査を行っております。
<その2>簡易シュミレーションで物件を取捨
いくら好立地の物件であったとしても価格が事業性に見合わなくては元も子もありません。
収益不動産の土地として可能性があるか否か?の簡易査定方法をご紹介します。
1.土地の坪単価をチェック
土地の価格 ÷ 土地の有効宅地面積 ※土地の面積については、販売資料には公簿面積が記載されている場合が多いです。
事業性を判断するには最終的には有効宅地面積で判断する必要があります。
私道の場合のセットバック(道路後退)や、都市計画道路、地区計画に定めるセットバックの有無をも確認しておきましょう。
2.一種単価をチェック
業界用語で一種(いっしゅ)単価と呼ばれる指標で容積率100%当たりの土地の坪単価です。
例:最大容積率200%の土地で坪200万円の土地の場合の一種単価
200万円÷200%=100万/種(容積率100%当たり)
例:最大容積率160%の土地で坪200万円の土地の場合の一種単価
200万円÷160%=125万/種(容積率100%当たり)
各販売資料を確認の上で有効宅地面積当たりの坪単価、最大容積率を確認しましょう。
収益物件用地としてどれ位の1種単価が適正は否かは投資家の期待利回りや物件エリアの賃料相場にもよります。
弊社の実績でも幅がありますが概ね100万~130万程度が一つの目安ではないでしょうか。
<その3>物件の重要事項をチェック
その2でチェックが終わった段階では大事な建物の見通しがありません。
建築計画のポイントとなる重要事項をチェックしてみましょう。
1.都市計画法・建築基準法に基づく制限
[用途地域、建ぺい率、容積率、高度地区、日影規制、防火地域、高さ制限、最低敷地面積 等]
建ぺい率、容積率がポイントであることは言うまでもありません。
また、容積率が全て消化できる物件か否かの見定めもさらに重要なポイントです。
ボリュームチェックを行う上でも重要となる下記の条件をチェックしましょう。
【指定容積率と基準容積率】
容積率については、建築基準法(第52条)に定められておりますが、所謂「指定」容積率と「基準」容積率があることを知る必要があります。
「指定」容積率
建築基準法(第52条1項)に定める容積率のことで役所等にヒアリングを行った際に教えてくれる容積率のことです。
「基準」容積率
建築基準法(第52条2項)には以下の記述があります。
(抜粋)建築基準法(第52条2項)前面道路(前面道路が二以上あるときは、その幅員の最大のもの)の幅員が20未満である建築物の容積率は、前面道路の幅員に次の区分に従い、定める数値を乗じたもの以下でなければならない。
- 第一種低層住居専用地域又は第二種低層住居専用地域 → 4/10
- 第一種中高層住居専用地域若しくは第二種中高層住居専用地域、又は第一種住居地域、第二種住居地域若しくは準住居地域 → 4/10(特定行政庁が別途定める場合あり)
- その他の建築物 → 6/10
例1:第一種中高層住居専用地域で指定容積率200%、前面道路4mの場合
基準容積率:4m×4/10=160%
答:160%<200%より、この土地の最大容積率は160%となる
例2:商業地域で指定容積率400%、前面道路4mの場合
基準容積率:4m×6/10=240%
答:240%<400%より、この土地の最大容積率は240%となる
イメージとしては、道路が狭い場所は指定容積率が高くても一定規模の建築物しか建てられないということです。
容積率に前面道路の幅員が影響している点がポイントです。また補足ですが、2項道路と呼ばれる4m未満の道路については上記計算上の幅員は4m未満でも4mとすることができます。
【北側斜線制限、道路斜線制限、隣地斜線制限 等】
ボリュームチェックする上ではとても大事な制限です。
特に東京都では第一種から第三種までの高度地区指定があります。
【都市計画道路にかかっている場合の建築制限について】
大通りに面する商業地域等で高容積率の物件であっても都市計画道路等の計画範囲に入っている場合がありますので注意が必要です。又、都市計画道路の計画範囲に該当している場合でも事業の進捗度合いによって「優先整備路線」に該当しているか否かで制限がことなりますので各自治体へ確認が必要です。
優先整備路線とは?
優先整備路線とは都市計画道路のうち、平成27年度までに優先的に整備する区間を、四つの基本目標≪1.活力、2.安全、3.環境、4.暮らし≫に基づいて選定したものです。
【防火地域内の建築制限について】
建築基準法では防火地域、準防火地域の建築物について一定の制限が設けられております。商業地域等に該当する場合は防火地域の場合が多く、住居系地域の場合は準防火地域が多いようです。準防火地域では木造アパートでも準耐火構造にすることで建築ができますが防火地域の場合は耐火構造が要件となり鉄骨造や鉄筋コンクリート造にすることが多いようです。尚、防火地域と準防火地域、2つの地域にまたがっている(用途境)土地の場合、準防火地域内にも防火地域の制限がかかりますので注意が必要です。
2.権利関係
土地の権利関係についてですが、「所有権」「借地権」「底地権」等の確認をしましょう。
大半の物件は「所有権」ですが、割安な物件の場合は「借地権」とい場合もありますので注意が必要です。 又、「借地権」の物件でも「底地権」との同時売却によって「所有権」の土地として取得できる場合もあります。 借地権での収益物件ですが、銀行融資については地主の承諾書の取得の可否、担保価値の算定等の注意が必要です。
3.道路付け
収益物件を建設するうえでも特に重要なポイントがこの「道路付け」です。
ボリュームチェックをする際の北側斜線や道路斜線の影響も接道する方角や幅員が重要です。南側道路日当たりがよいというメリットはありますが一方で北側道路は北側斜線の影響という意味ではメリットがあります。単身者向けの1Kなのか、あるいはディンクス向けの1LDKなのか?接道条件によっても向き不向きの土地があるようです。総合的に判断しましょう。
4.引き渡し条件
「現況引き渡し」「古屋付での引き渡し(解体費用は買主負担)」「解体後更地渡し」「賃借人立ち退き後引き渡し」等物件によっても引き渡し条件はことなります。又価格交渉にも引き渡し条件をふまえて交渉する場合があります。新築でも収益物件建設の場合は工事着工まではいずれにしても数か月を要します。金利負担やつなぎ融資とのバランス等をふまえて総合的に判断することが重要です。
5.インフラ関係
給水配管、下水配管、ガス配管、電気引込等のインフラの有無はしっかりと確認が必要です。又、現状のインフラから収益物件を建築する場合に引込直し等の付帯工事が発生する場合も要チェックです。
【給水関係】
最も注意が必要なインフラが給水設備です。
現状が駐車場等で給水設備の引込が自体がない場合は当然新規で引込が必要ですし、私道であれば掘削工事等を行う際の私道所有者の承諾も必要となります。又既存建物が戸建住宅の場合は引込配管の口径がポイントとなります。既存配管が口径が小さめの22mmや13mmであった場合は本管からの取り直しが必要です。配管が老朽化すると腐食して口径自体が小さくなっている場合もあります。工事予算を組む場合は追加で100万円程度の予備費用を計上しておくことをお勧めします。前面道路が私道の場合は公道面から各世帯が直接取り出している場合もあります。公道にせつぞくする迄の私道の長さによっては引き直し工事費用が数百万円かかることもあり事業の成否影響する場合もあります。
【下水関係】
東京都23区の下水道台帳はインターネットで閲覧ができますので、比較的容易に調査することができます。口径や土かぶり(深さ)、標高等様々な情報が入手できますので便利です。但し私道の場合は台帳に記載がありませんので別途調査する必要があります。私道の下水配管は私道所有者自信も図面を保管していないことがほとんどです。詳細は設備業者等立会の上で現調をする他ありません。その他敷地内からの下水配管が第三者の土地を経由してメインの下水配管へ接続されている場合があります。その土地所有者と合意書等の締結が必要なことはいうまでもありません。
【ガス関係】
東京ガスウェブサイトから埋設本管の調査は容易に行うことができますので比較的容易に調査することができます。又私道についても情報が整備されており配管自体が管理されておりますのでインフラの中でも一番簡単に調査が可能です。また前面道路に埋設本管が無い場合でも協議次第によっては引込をおこなってくれる場合があります。管轄機関へ一度協議を行うことをお勧めします。
埋設本管調査:東京ガスウェブサイト
<その4>こんな物件には注意
<例1:地中障害物がある物件>
土地を購入して収益物件の建設をする場合に注意したいいのがこの「地中障害」。
「地中障害」とは既存建物の杭や基礎、場合によっては過去に埋められたガラ、産業廃棄物等様々なケースがあります。建築する建物にもよりますが、特に地業工事で杭工事を行う場合、地中障害によって杭自体に障害をきたす場合があります。又、例えば中央区等で支持層まで20m以上もあるような場所では既存建物の規模も注意が必要です。鉄筋コンクリート造等の大規模な建築物があった場合は既存杭をよけて新築工事をする必要があります。
具体的な調査方法としては下記がありますので土地の選定段階では是非共実施したものです。
- 既存家屋の図面
- 閉鎖謄本(法務局にて調査)
- 古地図(地元図書館等で入手)
- 近隣ヒアリング
<例2:私道の物件(通行承諾不可)>
接道する道路が私道の場合は土地の売買契約前に「通行及び掘削の承諾書(第三者継承付)」を所有者から取得することをお勧めします。場合によっては売買契約締結後に取得を上契約に残代金の決済行う旨の特約を付けて契約することもあります。これまでの事例の傾向から一戸建て住宅ばかりのエリアに収益物件を建設する場合はやはり抵抗されるケースもあります。自転車の駐輪方法やゴミ出し、単身者向けかファミリー向けか、管理方法に至るまで質問があっても説明ができるように検討する必要があります。
<例3:接道幅員がギリギリ2m>
建築基準法第43条には以下の要件があります。
建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。
旗竿地等で測量図上の数値で接道が2mしかない物件を時々見かけます。
旗竿地の場合はいわゆる「長屋」しか建築ができませんがその場合は「有効寸法」で2mの要件とされる自治体が多いようです。つまり接道が2mあっても、隣地の塀が境界線上に存在して、当該地に半分入っている場合は有効寸法で2mの確保は難しくなりますので注意が必要です。そのような土地を購入する場合、売買契約書には「建築確認通知書が発行されること、、、」や「有効で2m以上確保できること、、、、」等よく調査することが必要になります。