Amazonがニューヨークを選んだ意味
アマゾンがシアトルに続く第二本社としてニューヨークのロングアイランドとワシントンDC郊外のクリスタルシティを選びました。
今後アマゾンは総額50億ドルを投資し、それぞれ25,000人の新たな雇用を生み出す計画です。
2019年にはオフィスが稼働し、アマゾンの進出によってこのエリアには新たな経済エコシステムが生まれることで何万もの新たな仕事や雇用が創出されることになります。
ですから、自治体としてはあの手この手でアマゾンの誘致合戦が繰り広げられ、200以上の都市が立候補したそうです。
では、アマゾンはなぜNYとクリスタル・シティーを選んだのか?NYが選ばれた理由はワールドクラスの人材争奪のため、クリスタル・シティーが選ばれたのは政治的な理由とい言われています。
NYでは25,000人の雇用創出に対して、ロングアイランド市からアマゾンへ10年間で合計12億ドルの税控除を、エンパイア・ステート・ディベロップメント(開発公社)からは10年間で合計3億2500万ドルの助成金が与えられるそうです。新たに生まれる雇用が将来的に生み出す税収を考えればこれも自治体による投資でしょうか。
NYの中でもアマゾンが候補地として選んだのが、クイーンズ地区の近くです。元々、工業地区であり最近は工場を住宅やレストラン、バーなどに転用するユニークな建物が多く、クリエイティブな街です。昨年、訪れた製紙工場をホテルに転用したペーパーファクトリーホテルもこの地区にあります。
世界中の企業が集まるNYでは当然、人材の争奪戦は激しくなるようでNYで新たに雇用する人材の平均年収は15万ドルにもなると言われています。
『年収は住むところで決まる』という本がありました。
この本には、インターネットによって人は場所を選ばずに仕事をするようになると思われていたが、実際は違った。物的資本から人的資本へ。イノベーション能力に富んだ人材を大勢引きつけられた都市や国が経済の覇者になる。これは先進国が有利だ、ということが書かれていました。
やはり世界経済の中心地はアメリカ、そしてNYだ。
(渡辺博之)