最終日のムンク展へ!
行こう行こうと思いながら最終日となってしまったムンク展へ。
90分待ちの大行列でした。
ムンクといえば「叫び」です。
この「叫び」の前には、満員電車のような人集りで、次へ次へと誘導されて目の前で見れたのは数秒間。パンダみたいなもんです。
ムンクの人生がまた波乱万丈。
若い頃の母の死、姉が若くして結核で亡くなったり、自殺願望に苛まれたり、画家として認められるようになってもなお酒に溺れ、恋人と喧嘩してピストルが暴発し左手に傷をおったり、左目の視力を部分的に失ったり。
その時々に、ムンクは見える風景や自画像を描きました。そしてその時の心情が色彩や描写に表現されています。
「叫び」のあのうねるような背景はノルウエー、オスロの街だそうです。不安や恐怖、目の回るような感覚が表現されています。あの頬を押さえているような叫んでいるようなオトコは誰か?作品を眺めていくと、僕にはあれはムンクの自画像で、幻聴に耳を塞いでいるように見えました。
その他にもムンクは自画像を書く際にはセルフィーを撮って写生したり(だから全体的にパースペクティブな構図になっている)、肉体のような柔らかな表現を直線だけで描いたり(モザイクみたいな)、再現可能な版画をパーツに分解してパーツの色分けをしてシリーズ化したり(ウォーホルのキャンベルスープみたいな)と、革新的なことをいち早く実践した画家でもあったんですよ。
(渡辺博之)