ヨコハマトリエンナーレ2017【島と星座とガラパゴス】
ヨコハマトリエンナーレ2017【島と星座とガラパゴス】
横浜トリエンナーレは、横浜市で3年おきに開催される現代美術の国際展覧会です。
メインの開催地は横浜美術館。丹下健三都市・建築設計研究所。1989年です。東京都庁の2年前の竣工。丹下先生76歳の作品です。(石割とかキレキレですよ)
そういえば、以前ダミアン・ハーストを見たくていったのが初めて。
2011年なので6年前ですか。その時も展示のボリュームが
有ったと記憶しています。
さて、2017年。「星と星座とガラパゴス」というコンセプト。
「接続性」と「孤立」から世界のいまをどう考えるか。
という主催者のメッセージが有りました。それを象徴するように、横浜美術館のファサードに展示された、アイ・ウェイウェイ氏の作品は、救命胴衣と非難ボードが建物の柱と開口部に展示されています。
エントランスを入ると巨大な樹木のオブジェ。シェシ・スライマン氏のインスタレーション。
最近の現代美術は村上隆さんや奈良美智さんの影響でしょうか。日本アニメのモチーフも
非常に多く見られます。好き嫌いは好みですが…
キューバ生まれのMrというかたです。
イギリスのアートグループ、「バンクシー」の映画「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」
2011年を観ると非常に理解しやすいかもしれません。(閑話休題)
ケイティ・パターソン氏の「化石のネックレス」は170個の化石からなるネックレス。
鉱物は見始めてしまうと止まりません。その意匠やどのように研磨されて同じサイズにしたのか
制作過程を想像すると興味が絶えません。またそれぞれの石は、「すべての死んだ星」を示しているの事。工学的でもあり文学的でもある。会場では虫眼鏡で観察ができます。
アン・サマット氏によるマレーシアの伝統的織物に由来する「酋長シリーズ」は日本で確保できる
日用品、「パソコンの基盤」「蚊取り線香のケース」「排水溝のふた」「ほうき」で構成されてます。近くによれば良く解ります。解りやすい素材を使って複雑な事を表現しているのでしょうか。
ロブ・プルイット氏の「スタジオカレンダー」オバマ元大統領が在職した8年間に
ニュース写真を元に2922枚のペインティングが行われていました。
興味深いのは、この日々の作品がオークションサイト「e-bay」にフリーマーケット形式で
日々アップされていた事。個人の営みの集積が社会とどうつながるか。興味深いです。
昭和の劇画的、木版画の制作スタイルの「風間サチコ」氏。とても強い風刺とコミカルな画法が
雑誌「ガロ」的ですね。
パオラ・ピヴィ氏によるインスタレーション。
彩色された熊が「芸術の為に立ち上がろう」とシュプレヒコールをあげています。
タイトルは「I and I」自分の中の葛藤を鼓舞してるのでしょうか。
再び木版画の風間サチコ氏の「ぼんやり階級ハンコ」サブカルチャー的ですが面白い。
書体と言葉の意味を考えながら含み笑いも…
「プロ市民」「鬼女」「アナキスト」「社畜」「オルグ」の横版スタンプって…
ちょっと「ナンシー関」的なぼんやり加減が刺さりました。
重量挙げの選手がワルシャワ市内の歴史的人物の彫像を盛り上げるというもので、
クリスチャン・ヤンコフスキーの作品です。
持ち上げられる人物の背景と由来。それに挑戦するアスリート達。
歴史的背景も伴い、動画で見ると感動を呼び起こす作品になってます。
「Dont Follow the Wind」
東日本大震災から4年後の2015年3月11日に帰宅困難区域に12組のアーティストの作品を設置しています。発案者はChim↑Pom。当時の映像をVR映像にして簡素な箱(みかん箱)に入れて閲覧します。外観はシュール。内容はシリアスです。
横浜トリエンナーレは3会場あり、関東学院大学の研究室が制作に係った黄金町のギャラリーもあり、一日かけて廻っても充分のボリュームです。金額も1800円です。
スマホの音声ガイドアプリを聞きながら、会場内全て撮影可能。
現代美術って良く解らない…。って人こそおすすめです。
岡村尚人