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インスペクション技術者講習を受けましたが…。

金曜日、勝どきにあるトリトンスクエアまで既存住宅状況調査技術者講習(いわゆるインスペクション講習)を受けに行ってきました。

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来年4月から施行される改正宅建業法で新たに設けられたインスペクション制度にもとづき、インスペクションを実際に行うための建築士を対象とした講習会です。

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国交省は今回の宅建業法改正によるインスペクションの制度化を、中古住宅の流通市場拡大と法整備を図るための「一次的なインスペクション」と位置づけていて、これを行うことによって

  1. 中古物件の売買時に補修工事の必要性を把握することができ、
  2. 建物の定期点検における現況把握もできる

という位置づけのものを設計したかったようです。

そして、さらに詳細な二次的インスペクションは既存の耐震診断制度などを活用するということのようです。

では、具体的な調査方法はというと

  1. 構造耐力上主要な部分
  2. 雨水の侵入を防止する部分の調査
  3. 耐震性に関する書類の確認

の3項目について目視調査と計測調査を行って、劣化事象と認められる部分があるかどうかの調査をします。

売買契約の重要説明事項に添付するインスペクション概要書は劣化事象等の有無あるいは「調査できなかった」にチェックする1枚のシートなのですが、事前に依頼主に報告するための書式は各部位についてのチェック項目と写真、備考(自由記述)も含めたものなのでおそらく30ページくらいにはなるのではないかと思います。

では、これをいくらで受託するか?という問題もありますが、それ以前に果たして中立、公平な立場でこの調査を出来る建築士がどのくらいいるのか?というもっと大きな問題があると思います。

読んで字のごとく「既存住宅の状況調査」なのですから、確認できた事実だけを書くのが本来のあり方だと思います。

そしてその事実にもとづくリスクをあらかじめ定量化して(金額に換算して)不動産売買価格が決まります。

調査方法に則ってチェックしていく、というマニュアル化された部分は非常に信頼性があると思いますが、備考で所見を記述させるという部分が問題だと思うのです。調査者が保守的な人であればおそらく備考欄に憶測による懸念事項をたくさん書くでしょうから。実際に講義中に「項目にないことでも気づいたことは記述すべき」と講師に言われました。

とにかく、来年度から始まるこの制度。中古住宅市場の拡大に大きな役割を演じてほしいと思っています。

※7月30日のブログでは「売主に対する説明義務」と書きましたが、「媒介契約時に売主・買主に対する説明義務」として制度化されるようです。

(渡辺博之)

   

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